ブランチ
お気に入りをかき集めた小さな世界で
気の抜けたソーダを飲みながら
色のあせた絵本にすべりこむ
耳を澄ませば真っ白い雲が
寝癖のついた髪を優しく撫でる
物語の折り返し地点にはまだずいぶんと早い
でもいそぐ旅ではないから
ゆっくりと道ばたの花に話しかけよう
太陽の背伸びにだって驚くことはないわ
だって月はのんびり屋さんなんだもの
なんの変哲もない小枝を
鼻歌まじりに振り上げて
小高い丘を目指す
ときおり風と立ち話なんかして
バスケットに詰めたサンドイッチで
ちょっとしたお茶会
わたしはお姫様ではないけれど
こんなに素敵な風景だから
ちょっぴり優雅を気取ってもいいじゃない?
ほどよく喉をうるおしたなら
さぁ頂上まではあと少し
歩こう
靴音を景気よく鳴らしながら
メルヘンタッチを目指した軽快な物語。
これ書いてたらなんだか妙にこの登場人物に愛着が湧いてしまいました(笑)
けっこうお気に入りの作品のひとつかもしんないです。