春に咲く羽


雨上がりの風に
寝ぼけ眼な草の香り

なにげない散歩の途中で
視線に手をかざし目をこらせば
いつのまにか公園の芝生には
春を告げる白詰めの花

背筋をのばしてみる

冬の積もったコートは空に投げ捨てて
はれぼったい手袋はベンチに置き去り

ほらね

足が地面からはなれてしまいそうなくらい
とてもとても身体が軽く感じられるよ

春を告げる白い花
まるでそれは

うん

心に咲いた羽のようだね


舞い上がる気持ちを純白の花に添えて……