まず初めに、今回はあくまで個人的意見ということ、本人が専門知識を熟知しているというわけではないということを明記しておきます。
今回の話の中でご不満な点、ご不快な点などがありました場合はご遠慮なさることなくそのご意思をお伝えいただければと思います。
その際は深く謝罪を述べさせていただくと共に、適切な対応をとるように配慮させていただきます。
それでは本文をどうぞ。
自閉症ということ
昨今、この”病名”は各誌の紙面やテレビなどでしばしば取り上げられるようになりました。
皆さんはこの”病気”についてどの程度のご理解がありますでしょうか?
まず初めに強く念を押しておきます。
この自閉症とは
先天性の脳の病気であり”ひきこもり”や”引っ込み思案”とはまったく別である
幼少時の教育や親の接し方や愛情不足のせいでは絶対にない
という二点を知っておいていただきたいのです。
そもそも今回この話題に触れようと思ったのは友人の家で何気なく観ていたテレビでこの病気を取り上げた番組が流れたからなのですが、その時の友人の偏見や友人の彼女から聞かされたとある大学の教授の言葉に愕然とさせられたのです。
あ、いっておくけど友人よ、おまえさんを責めているわけじゃけっしてないんであしからず。
それはおまえさんのせいではなく、世間の知識不足によるものだから。
実際、上記のような考えを持っている人の方が大半なんじゃないだろうか?
私自身、自閉症というのは=心の病、と思っていた時期はあった。
幸いにも母が看護婦ということもあり時折テレビで特集を組まれたものや教育番組で流れるこういった番組に少なからず興味を持つように自然となっていたからにすぎない。
話を戻そう。
繰り返すが、自閉症とは先天性の病気であり、これは誰のせいでもない。
また、症状は人それぞれでおおまかな共通の症状はあるもののまったく同じ症例はないそうだ。
そして、残酷なことをいってしまうが……
この病気は改善をしていくことはできるものの完治することはない。
ゆえに親と子は生涯この病気とつきあっていかなければならないのである。
先に書いたテレビだが。
実はその番組、撮影と取材をした記者。彼自身、自閉症の子供がおり自分の家族のことを自身で取材した番組だったのである。
他の家族、子供のことも紹介されていたのだが、それぞれにいえたのは、崖っぷちの精神の中で死すらも覚悟をしたことがある
ということである。
壮絶という他ない。
正直なところ、もし私に子供ができたとしてその子供が自閉症だと知ったとき、自分はそれに向き合っていけるだろうか? と考えさせられる。
おそらく……考えたくもないが……私はどこかで先を絶ってしまうことだろう。
ただし、それは正しい認識を持っていない場合だ。
今の私には少なくともいくつかの症例や日々試行錯誤しながらも懸命に未来に向き合っている人たちの姿を知っている。
その人たちの姿があるからこそ、きっと私はあきらめずにやっていけることだろう。
番組の中で、ある詩が紹介された。
それはこんな内容のものだった。天使たちはこれから自分たちが運ぼうとしている子供が人々にうまく言葉や意思を伝えることができないことを知っていた
ゆえに天使たちはこの命を届ける親を慎重に選ばねばならなかったのであるその子供は選ばれてその親のもとに生まれてきたという詩だった。
他ならぬその両親であるからこそ、その子は生まれてきてくれたのだと。
それは番組内で紹介されていたある母親が何度も救われたという言葉。
それは私がいままで目や耳にしてきた愛情を説くどんな詩や言葉よりも鮮烈であたたかいものだった。
この言葉と、世間の間違った知識さえなければどれほどの命が救われていただろう。
先にあげた記者が取材したものの中に興味深い話があった。
よくニュースで母親が子と無理心中を図って死亡した、という情報が流れることがある。
すべてとはいわないがその中に、自閉症の子供がいたという事例がいくつもあったそうだ。
はて? と思う。
無理心中という話は聞くが、はたしてその事件説明の中で自閉症の子供がいたということを聞いたことがあっただろうか? いや、ない。
その記者が調べたところによると、警察は意図的にその情報を非公開にしている
ということだそうだ。
何故警察はその事実を隠さなければならないのだろうか?
残された夫の一人は「そのことをきちんと報道してくれなければ妻が浮かばれない」と声を震わせていた。
そう、それを世間に伝えるのと伝えないのとではとても大きな誤解が生まれてしまう。
皆さんはこういった無理心中のニュースを聞くとこんな風に考えないだろうか?
「子供を道連れにするなんてなんて親だ!」
「子育てができないならなぜ子供なんてつくったんだ!」
「責任感のない親だ!」
と……
もしその亡くなった親の子が自閉症だとしたら、もしくは何かの病気だったとしたならば、そしてその病気について正しい認識を持っていたならば、親の苦しみを少なからず知っていたならば……果たしてそんなことを思ったりするだろうか?
断言しよう。絶対にありえない
決して自殺してしまうことを肯定するわけではない。
だがしかし、苦しみもがいてどうしようもなくなって逝かざるをえなくなってしまったその人たちを死してなお蔑むことはなくなるはずだ。
自殺したある母親の書き遺した言葉がある。
たったひとこと……
「わからなくなりました」
そのひとことを思い出すとどうしようもなく胸がやりきれなさで熱くなる。
長々と書き連ねてしまったのだが、結局何がいいたいのかというと、少なくともこれを読んだ方には自閉症について正しい認識を持っていただきたいのである。
その間違った認識は自閉症と懸命に向き合っている親や子に、とくに精神的に崖っぷちにいる人たちの心に深い深い傷をつけてしまうことになるから。
そしてそれは”最後の引き金”になってしまうかもしれないということを重々理解しておいて欲しい。
かといって、間違っても「頑張れ」などということをいってはならないことも知っておいて欲しい。
今精一杯頑張っている人にこれ以上何を頑張れというのか?
励ましの言葉もときには残酷でしかない。
それよりも理解を深めることこそが何よりもの支えになるはずだ。
まだまだ書きたいことはあるのだが、今回はひとまずここまで。
できればまた改めてこういった話題について語りたいと思う。
最後に、
今現在、自閉症のお子様がいらっしゃる方々に……
こんな何の力も面識もない私ですが、試行錯誤、疲労困憊になりながらもお子様を愛し、根気強く病気と向かわれているそのお姿に深く感銘を受けるとともに、皆様方のようなご両親がいらっしゃることに深い感謝にも似た喜びを感じます。
どうぞ皆様方に、それぞれの良き道が訪れますよう心より祈る次第です。
乱文、最後までお目を通していただきありがとうございました。