恋の話

 ある深夜。これまたある人と恋愛話で話し込んだ。
「その別れがあったからこそ、いまのitsukiさんがいるのも確かだよね」
 その人はそういった。

 そうなんだよね……と思う。

 でもそれは「別れてよかった」という意味ではなくて、「出逢いを大事にしたい」という想いがあるからなんだと思う。
 私は恋愛に臆病で、好みの女性がいてもなかなかアプローチができない。
 それはまぁ性格というものだから、と自分に言い訳をして誤魔化しているけども、それでもその人との出逢いは大切にしたいといつも思っている。
「恋に恋する」なんて言葉があるけども、それはきっと仕方のないことで、誰にでも素敵な恋愛を望むことはある。
 結局はその恋愛のなかでなにを生み出すことができるかが問題なだけで、それが悪いことだなんて思わないでいたい。
 相手に理想を求めるのは、今よりもっとその人を好きでいたいという想いの表れだと思うから……
 ただ、理想ばかりを求めすぎてその人本来の姿を否定するのは間違いだと思うけれど。

 出逢いとは自分の道と相手の道とが交差したときにできる小さな小さな点。
 そんな奇跡ともいえるできごとを大切にしない手はないでしょう?
 だから、ね。
 恋は不思議で素敵なことなんです。
 たとえそれが恋愛に発展しなくとも、その一瞬が自分にとって唯一の、かけがえのないものになるのなら、それもまた素晴らしいこと。

 始まりはいつも恐怖を伴うもの。
 一歩踏み出すということは終わりへの一歩でもあるから……
 でも……その一歩を踏み出さなければ始まりすらやってこない。
 迷ってもいい。あきらめるのもまた一歩。駄目と決めつけてかかるのもまた一歩。
 確信をもって行動するのもいいし計算してアプローチするのもいい。
 たった一歩、踏み出すのなら……

 恋にかぎらず、そうやって出逢いという無数の"点"が集まって、自分という一つの"球"ができるのではないでしょうか?

 なんてことを恋の話から思いついた夜でした…………