らしく

 

自分らしさ

その言葉を追い求め
僕らは日常をひっくりかえしては
物珍しい何かに目を奪われる

どんなに着飾ったところで
こころを覆い隠すことなんてできないのに

自分らしさを求めるばかりに
自分らしさを忘れていく

深呼吸してみよう
大きく 深く 静かに
胸に両手をあてて
草原にからだをあずけながら

まぶたの上から降りそそぐ陽の光が
やさしく感じることができたなら
ゆっくりと目をあけてごらん

まるで生まれ変わったような感覚

でもね

それは重ね着した衣がなくなっただけ
それが素直な僕らなんだよ

自分らしさ

それは見つけるものではなく
初めからそこにあるものなんだよ
きっとね

 


個性の尊重をむやみやたらに掲げる今の世の中で
右往左往してしまうだけで自分を見失う人のなんと多いことか……
そんなことを感じた夕飯前に思いついた詩。