鎮魂歌

心の引き出しに入りきらなくなった哀しみを
どうにかして声にしようとしたけれど
もとの形がわからないほどに押し潰してしまったから
それはなんの意図も感じられない
ただの嗚咽にしかならなかった

こんなことなら
もっと早くに吐き出してしまえばよかったのだろうか

いや

それができるくらいなら
初めからあなたに焦がれることなんてなかっただろう

だからせめてこの絞り出した音が
鎮魂歌となればと切に祈る

幸せが訪れないとしても
今はまだ
それでもいい……

ただこの疲れ切った身体を
ほんの少し休めることさえできれば
それで……


消えてしまえばいいと願う想いに
静かに添える……
そんな歌です。

某所に投稿させていただいていた作品がこれでめでたく10作目。