てのひら

一番欲しいものはいつだって
指の間から零れ落ちてばかり
だからってはなから諦めてちゃ
砂粒すらつかめやしない

街を見下ろす丘に登って
思い切り"のび"をしてみた

僕はここに立っている

肩に舞い降りた紅葉を
空にむけて放り上げた

そうさ
どんなに古く大きな木だって
はじめはとても小さく弱い
途方もない時間をかけて
必死に太陽を目指すんだ

このてのひらで
受け止められるものは
たいしてないのかもしれない

けどね

喜びや 悲しみや 慈しみや 苦しみがあって
ようやく鮮やかに色づけることを
今僕は気がついたから

降りしきる日々の出来事を
ありのままに浴びよう

大丈夫
もう顔を上げ手を伸ばすことに
迷いなんてない
そしていつか必ず
気高く強い紅色になるのさ