憂い火

瞼の裏にはいつだって君の姿があるのに
この腕の中にはなにひとつ
ぬくもりすら残っていない

互いに手を伸ばしても
それはまるで寄り添いながらも
けっして交わることのない螺旋のように
指先を絡めることはできない

それでも何かを望む僕らは
愚か者なのだろうか

吹きすさぶ風に
たやすく揺らぐ明け色の炎は
必死に消えまいと
朽ちかけた記憶をくべ続ける

渦巻き立ち昇る感情は
僕らの身を焦がし
群青の夜を密やかに……
密やかに照らす……

 


螺旋階段のような関係のさきにあるものは……